若年性認知症の方が利用できる制度

若年性認知症の場合、利用できる制度が高齢者とは異なり、個々の状況に合わせた対応が必要になります。若年性認知症を発症すると、定年を待たずに退職したり、定年退職後に予定していた再就職がかなわなくなったりするケースが多く、経済的な不安を抱えることになります。

手続きのタイミングが遅れて、利用できるはずだった制度が利用できなくなる場合もありますので、それぞれの制度が利用できるかどうかを把握して、必要な制度は漏れなく利用できるようご本人・ご家族に情報提供することが大切です。

若年性認知症相談窓口では社会保険労務士とも連携しながら、必要に応じた制度の紹介や手続きに関する助言などを行っています。

○自立支援医療(精神通院医療)○

・認知症の治療にかかる医療費の窓口負担が1割の定率負担になります。

・世帯の所得水準などに応じて、ひと月あたりの負担に上限額が設定されます。(所得制限があります)

・あらかじめ指定した医療機関・薬局でのみ利用できます。

・通院治療のみで、入院治療には適応されません。

 

○精神障害者保健福祉手帳○

・各種の福祉サービスを受けるために、障害があることを証明するもので、初診日(初めて病院を受診した日)から6か月経過後に申請できます。

・障害の状態によって1~3級に認定されます。

・等級に応じて所得税・住民税の障害者控除や自動車税の減免、公共交通機関の割引等が利用できます。

 

○重度障害者医療費無料化対策事業○

・自立支援医療(精神通院医療)受給者かつ精神障害者保健福祉手帳(1級または2級)所持者が対象です。(所得制限があります)

・医療機関の窓口で支払った自己負担額から、高額療養費などの給付を受ける額を除いた額が、後日居住地の市町から還付されます。  

  ・入院治療には適応されません。

 

○傷病手当金○

・業務外の病気やけがのため、仕事に就くことができない場合、休職4日目から最大で1年6か月支給されます。

・給与が支払われている間は支給されません。(給与の金額が少ない場合は差額が支払われます)

・一定の条件を満たす場合は退職後も継続して受給できます。

・障害年金や老齢年金を受給している場合、支給停止や減額される場合があります。

 

○雇用保険(失業給付)○

・雇用保険に加入していた人が離職後、ハローワークで求職の申し込みをして、新たに仕事を探す場合に受給できます。

・給付日数や給付額は加入期間や年齢、離職理由等によって異なりますが、受給期間は離職後1年となっていますので、早めに手続きをする必要があります。

・病気などの理由ですぐに求職活動ができない場合は受給期間を延長することができます。

 

○障害厚生年金/障害基礎年金○

・初診日(初めて病院を受診した日)から1年6か月経過後に申請できます。

・初診日に加入していた年金によって、受給できる年金が異なり、障害厚生年金は1~3級、障害基礎年金は1~2級に認定され、認定された等級によって受給金額が異なります。

・初診日から1年6か月経過した時点で症状が軽く、障害年金の対象にならない場合でも、65歳までに症状が重くなった場合はその時点で申請することができます。

・認定後も、必要に応じて定期的に診断書を提出して等級の見直しが行われ、途中で障害の状態が変わった場合にも見直しを申請することができます。

 

○特別障害者手当○

・精神または身体に著しく重度の障害を有するため、常時特別の介護が必要になった在宅生活者に支給されます。(所得制限があります)

・介護保険施設などに入所した方や長期入院中の方は対象となりません。

・月額27,350円(令和2年4月1日現在の金額)が3か月ごとに支給されます。